この度、私たちはNPO法人秋田水生生物保全協会を設立しました。当法人は「水と関係を持つ生きもの」の調査、研究、保全、情報提供、普及啓発などの事業を関係者と協力しながら活動を行うものです。
私たちは、長く現場で、河川・湖沼や水路から海にいたるまで、そこにすむ生きものを見てきて多くの危機感を抱いてきました。
例えば、秋田県北部の水田の水路や秋田県子吉川水系の河川では、どこにでも見られるドジョウの中には、中国や韓国から持ち込まれたカラドジョウが混じっていたことを確認しました。この怖さは、地元の方さえ気がつかないうちに起きていたということにあります。
また、海でも大変なことが起きています。人々は地元の魚や旬の魚に興味が無くなり、伝統のあるハタハタずしや魚醤を必要と思う人が少なくなっている現状です。一方では、全国のシロザケの漁獲量が23万トンに対してノルウエーなどからの輸入量は25万トンもあり、知らないうちにアジ類は国内生産20万トンに対してオランダ等から5万トンが輸入されているのです。また、国内でもタイ類については、天然漁獲量1万5千トンに対して養殖量は7万トンもあるのです。外国産や養殖が悪いという事ではありません。地魚・旬の魚を知り、その美味しさや旨さ、香り、複雑さなどを知った上でのことであればよいのですが。また、大きな問題として、漁業者が激減しているということも知る必要があります。私たちが魚を食べることができるのは、漁業者がいるからです。
これらは一例でしかありませんが、私たちは、様々な角度から取り組み、可能な限り努力して行きたいと思います。「水に棲む生きもの」をめぐる危機的状況の中で、私たちだけでは力不足であるのも事実です。関係者の方々と一緒に協力しながら、「水の生きもの」について調査・研究や地魚・旬の魚など皆さまとともに活動を進めていきたいと思います。皆さまからのご協力、ご指導を御願いします。
代表理事 杉山秀樹(秋田県立大学客員教授、海洋科学博士、水産技術士)
主な著書
秋田の淡水魚.1985.秋田魁新報社.
淡水魚あきた読本.1997.無明舎出版.
田沢湖まぼろしの魚 クニマス百科.2000.秋田魁新報社.
ブラックバス駆除最前線.2005.無明舎出版.
あきたの地魚・旬の魚.2011.NPO法人あきた地域資源ネットワーク.