10月24日、男鹿産のハタハタを食べた。 購入したのは秋田市内のスーパーマーケット。中身は「秋田県男鹿産はたはた」、「加工年月日:2013.10.23」、「消費期限:13.10.24」だ。値段は、単価158円/100gのもの、4尾337gで532円(写真1)。もう一つは、単価98円/100gのもの、5尾416gで407円(写真2)であった。ちなみに、加工年月日、消費期限はともに同じであった。 次に、写真3は写真1のものの塩焼き。同様に、写真4は写真2のもの。写真5は、写真2のアップ。このハタハタは口に入れると、精巣がクリーミーで、驚愕した。 さて、この各写真を見て、事務所のメンバーからいくつかの疑問が出てきた。そこで、この質問の一部を2014年1月26日に行う「地魚・旬の魚検定試験」(詳細は近々HPに予定)に使うこととした。 Q1:鮮魚を見ると、腹部が膨らんでいて、ブリコを持った季節ハタハタのように見える。 季節ハタハタの精巣(白子)は、それほど大きくない。なぜか。 Q2:今の時期は、ハタハタはどうやって漁獲されているのか。 Q3:雄の胃は空だったが、餌を食べていないのか。 Q4:1尾当たりの平均重量は、写真1のものは84.3g/尾、平均単価133円/尾であった。 写真2では平均重量83.2g/尾、平均単価81.4円/尾であった。単価が大きく相違しているのはなぜか。 A1:産卵のために接岸するハタハタを秋田県では「季節ハタハタ」と呼び、12月になると卵子と精子は成熟し、産卵する。その際、雌の卵巣は12月の産卵時期に最大になるが、雄の精巣は10月に最大になり、その後徐々に減少していく(図1)。すなわち、雄では精巣の大きさと精子の形成は同時ではない。12月は異なる。10月のこの時期、腹部は精巣が大きく膨らんでいるが、産卵可能な精子ができるのは約1か月も経ってからだ。 A2:10月の時期、ハタハタは底びき網漁業で水深250m前後の泥底で漁獲しています。よく見ると、深海の底にいるクモヒトデの一種が体に付いているのがわかります。 A3:この時期、雄の精巣は体重の20%前後とピークで、胃はほとんど食べていません(図1、写真5)。食べていないというより、むしろ、精巣が体の大くを占めており、餌を食べることが出来ないようにも見えます。実際、雌雄ともに成熟する季節ハタハタに向かい、まったく食べなくなります(食べられなくなります)。産卵後沖合に戻ると餌を食べるようになり、2月には体重の10%前後になります。 A4:一般的に魚の値段は、サイズで大きく相違する。時期や見た目も当然異なりまする。漁業者は漁獲した段階で、「大」、「中」、「小」などの銘柄に分け、それを市場が受け、競りが行われます。確かに、1尾当たりの重量と単価の関係は奇妙に思いますが、卸しや仲卸、スーパーなどでは、その曜日、これからの天気、気温、漁獲量の予想など、価格にはあらゆる要素が含まれています。正直、価格はきわめて難しく、きっちりと説明できない部分もあります。 その他、精巣の大きさがサイズによって相違するのはなぜか、雌雄の比はなぜか、精巣のおいしい食べ方は、など多くの質問はありますが、別の機会にしましょう。