秋田の水生生物
おもに池沼・溜池で見られる魚類
ゼニタナゴ ゼニタナゴ Acheilognathus typus
環境省:絶滅危惧IA類、秋田県:絶滅危惧種IA類

 主に溜池に生息する日本固有のタナゴの仲間です。かつては関東以北に広く分布していましたが、生息地の消失やオオクチバスによる捕食、観賞漁業者による乱獲などによって激減しいます。現在でも生息が確認されているのは、秋田県、岩手県、宮城県、福島県のみとなってしまいました。
キタノアカヒレタビラ
Acheilognathus tabira tohokuensis

環境省:絶滅危惧IB類、秋田県:準絶滅危惧種

 これまでアカヒレタビラとされていましたが、2007にアカヒレタビラ、キタノアカヒレタビラ、ミナミアカヒレタビラの3種に分けられました。日本固有種で、本州東部の日本海側(秋田から新潟県)と福島県西部(阿賀野川支流)に分布します。卵が長い楕円形であることで、太平洋側のアカヒレタビラと見分けることができます。
シナイモツゴ Pseudorasbora pumila pumila
環境省:絶滅危惧IA類、秋田県:絶滅危惧種IA類

 日本固有種で、山際の溜池に生息します。繁殖期になると、オスの体は黒くなり、頭部に追星と呼ばれる粒状の突起が現れることから、カラスブナあるいはツラアラワズと呼んでいる地域もあります。県内に広く分布していましたが、最近ではオオクチバスや西日本から侵入した近縁種のモツゴの影響で生息地が減少しています。
メダカ北日本集団 メダカ北日本集団 Oryzias sakaizumii
環境省:絶滅危惧U類、秋田県:準絶滅危惧種

 北日本集団は日本海側に生息しています。太平洋側の南日本集団とは、鱗の縁に黒い色素が密集することで網目状になっていること、体の後部に不規則な黒斑が見られ、銀色の鱗がパッチ状に配列すること、オスの背鰭の切れ込みが浅いことから見分けることができます。写真は北日本集団のオスです(マウスを写真に重ねると南日本集団のオスの写真になります)。
 近年、「善意の放流」による遺伝的な汚染が起きています。
ジュズカケハゼ広域分布種
Gymnogobius sp. "Widely-districuted species"

環境省:準絶滅危惧種、秋田県:―

 関東・北陸地方以北に広く分布します。平野部の湖や沼や、その周辺の水路や河川に生息しています。婚姻色はオスではなくメスに現れます。オオクチバスなどの外来魚による捕食の影響を強く受けて各地で減少傾向にあります。八郎湖周辺では体表の粘液がネバネバすることから、ナットウゴリと呼んでいます。

〜陸に封じ込められた魚 ルリヨシノボリ〜
環境省:―、秋田県:地域個体群

 杉山(1984)の報告により、男鹿半島の三の目潟に川でみられるルリヨシノボリRhinogobius sp. COが陸封されていることが明らかになりました。三の目潟は、今から2万〜2万4千年前の爆裂火口に水がたまったとされています。しかし、三の目潟には流入河川がないため、川と三の目潟を行き来できる魚類はいません。にもかかわらず、ルリヨシノボリだけでなく、ワカサギやヌマチチブまで生息しているのは驚きです。酒井ほか(2004)は、縄文時代(約6000年前)から最近にかけて、河川と潟をつなぐ連続した水路が存在していたのではないかと推察しています。ここでみられる個体は小さな個体ばかりで、頬部のルリ点が不明瞭なことが多く、小集団化や生息環境縮小による影響が現れているようです。
 陸封されたルリヨシノボリは国内の数カ所と韓国の1カ所でしか確認されておらず、秋田の魚類相成立の過程を知る上で非常に重要な個体群なのです。
秋田の水生生物
河川で見られる魚類  河川や河口で見られる魚類  湧水・水路で見られる魚類  池沼・溜池で見られる魚類
限られた地域で見られる魚類

河川で見られる魚類  河口付近で見られる魚類  湧水・水路で見られる魚類  池沼・溜池で見られる魚類
限られた地域で見られる魚類

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